「地動説」は揺らぎ、「天動説」が頭をもたげる。米国のみならず、自分を宇宙の中心と考える指導者がいる。温暖化対策ひとつを見ても、言動が自己中心化し、天動説化している。

今朝の「天声人語」。

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』という本が良く売れているという話をきっかけにしている。

そう言えば先日、本屋でその漫画本を見かけた。

吉野源三郎？

知らない。

で、彼が戦前、治安維持法違反で捕まり、軍法会議で「君たちが何と言っても地球が太陽の周りを回る」と述べたことが、冒頭の文章（「天声人語」）につながる。

こんな、コペルニクスを引用した稚拙な言葉を吐いた吉野もどうだかと思うし、それに感動するのもどうだか、である。

なにより、冒頭の「地動説」「天動説」の引用がおかしくはないだろうか？

正直、天文学みたいなものに疎い。

「地動説」「天動説」のなにも知らない。

しかしそもそも地動説は宇宙が科学的に解明される中で構築された言説で、別にコペルニクスが自己中心的な人間でなかったならではないし、天動説を唱えた昔の人間も自己中心的だったからではなく、科学的な裏付けがなかったからであろう。

さらにキリスト教からの天動説は、神が世界を創造したという信念に基づくものでこれも自己中心的とは関係がない。

むしろ敬虔なクリスチャンは人間の愚かさを悔む者で、自己中心的な考えとはある意味、真逆ではないだろうか。

また政治家は自己中心的だから指導者になったのではない。権力という魔力に溺れたからであり、権力という魔力に自己を喪失した者、そのために自分で物事を見ることが出来ない者である。

それは温暖化対策に賛成する政治家も同じだ。

温暖化対策に賛成しようが反対しようが、今更であり、例え賛成しても限界は見えている。

資本というシステムに反抗しないかぎりは温暖化対策など効き目はないだろう。

仮にトランプが温暖化対策に積極的なら地球の温暖化は抑制出来たか？

扇動するだけの、たかが政治家にはなんの力もない。

例えば、ヒトラーもいう人間ひとりがナチズムを作り、世界大戦を引き起こしたのではない。

そんな風な発想が天動説的に非科学的なだけである。

いや自分たちは地動説を唱えながらもまだまだ天動説的な知能しか持たないということだと思う。